一関市・平泉町
基本情報
自治体名:岩手県一関市・西磐井郡平泉町
都道府県:岩手県
自治体規模:市、町 / 村
シェアリングエコノミー活用の取り組み
概要
【観光振興】
地域に住む人の「能力のシェア」を目的として、人とアイディアが集う場所「一BA(いちば)」を開設。「地域のフロント」として観光資源をフックとした地域経営力・収益力強化を民間主体で実施。
取組主体:世界遺産平泉・一関DMO
導入前の状況 (課題)
- 世界遺産の中尊寺や毛越寺、猊鼻渓や厳美渓、温泉など豊富な観光資源がある一方、2011年の世界遺産登録年対比、観光入込客数は8割程度に低下(約216万人)。
- また、平泉町の宿泊者数は約4万人であり「通過型」の観光地の現状。
- 街づくりの観点から以下のような課題に直面
- 平泉町と一関市の一体での観光戦略策定の必要性。
- 民間主導の運営組織と担い手のマッチング、育成が急務。
- 持続可能な地域づくりのために地域外との関係を進めていく必要性から、民間事業者5社が「一般社団法人一関平泉イン・アウトバウンド推進協議会」を設立(2017年4月)
課題に対する取組
- 一ノ関駅前の空き店舗に「一BA(いちば)」を開設し、「地域のフロント」として、観光、物産、サービスを一体で経営。大手コワーキングスペース組織に加盟し、ワークショップを多数開催することで、多くの人材のネットワークを構築。
- 2017年11月から一BA内に「手ぶら観光カウンター」を設置しスペースシェアにより顧客の利便性を図る取り組みを開始。
- 駅前という立地を活かしコワーキングスペースを運営するとともにイベント・セミナー等を開催し、一関市内外の人との関係を構築。
導入後の状況 (取組の効果)
- 2017年7月~駅前拠点にて事業開始。コワーキングスペースとして個人や法人の利用及びワークショップを複数回開催し、 FBフォロワー1233人獲得(2020年3月現在)。
また、一BAの会員として、固定席会員1組、一般法人会員として4組、合計5組入居者獲得(2020年3月時点)。 - 2018年4月~地域の事業者が8社が組織するDMO候補法人としての業務を開始。
- 一ノ関駅前の「一BA」開設後、観光・物産事業の実施及び人材ネットワーク構築のためのイベント企画などを毎月実施。その結果、そこで構築されたネットワークを活用し地域内でチラシデザインやロゴデザインなどによる委託案件が5件発生。地域内で仕事の循環によるキャッシュフローを回すことに繋がったもの。
- 2017年11月から手ぶら観光カウンターを開設したことにより手荷物預かり(スペースシェア)の利用件数は2019年12月現在までに182件となる。
取組のポイント
サービスの認知度向上のための取組
- 一BAの構成会社である株式会社マガジンハウスの「コロカル」に取り組みを連載し、首都圏を中心とした地方への関心が高い層へのPRを実施
サービスの提供者(ホスト)・利用者(ゲスト)掘り起しのための取組
- 個人が持つ能力や人脈を共有するために、ワークショップやイベントを一BAで開催し「場」を提供。ネットワーク化を図る。
- 平泉一関エリア農泊推進協議会と連携し、今後開始される「住宅宿泊事業法」への対応や簡易宿泊所を取れるレベルまでの窓口として活用
サービスの安全・安心を確保するための取組
- 手荷物の保険加入
補完・連携した既存の公共サービスの内容
- 市観光協会との窓口業務の連携
広域連携のための取組
- 世界遺産平泉・一関DMOの連携組織として「一関・平泉ブランドデザイン機構」(仮称)を創設し、両市町の観光事業者、商工会、観光協会、行政が加わった合意形成の場を確保
残された課題、継続取組事項
- 「シェアリングエコノミー」という言葉が浸透していないものの、岩手には「おすそ分けの精神」や「向こう三軒両隣の精神」があることから、「現代版の無尽や講」であることを伝え理解浸透を図る。
- 農家民泊について、規制緩和の流れがある一方で、消防法のスプリンクラー設置義務等、取り組むべき課題も多く、協議会を中心に消防との具体的な整備方法について相談検討を実施中。
- また、「シェアリングエコノミー協議会」が発足するなど理解が進むような取り組みが出てきている。
連絡先
一般社団法人世界遺産平泉・一関DMO
事務局
嶋貫 淳
coba.ichinoseki@gmail.com
0191-345-345