【パブコメ】「ステルスマーケティングに関する検討会報告書(案)」に対し意見を提出しました。

【パブコメ】「ステルスマーケティングに関する検討会報告書(案)」に対し意見を提出しました。

2022年12月15日、当協会は、消費者庁表示対策課が意見を募集していた『「ステルスマーケティングに関する検討会報告書(案)」に関する意見募集について』に関し、意見を提出しました。

意見の概要

  • シェアサービスにおいてもサクラレビュー・やらせ口コミの課題は存在するため、ステルスマーケティングに対する規制の必要性については賛成。
  • しかし、広告の表示主体を法第5条第3号の「商品又は役務の取引に関する事項」に含まれると解釈することには疑問が残る。法律の委任の範囲を超えており、本来的には告示レベルではなく、新法や法改正により規定を新設して要件事実も精査したうえで規制すべきものであったのではないか。
  • 事業者の正常な活動を過度に萎縮させないよう、「第三者の自主的な意思による表示と客観的に認められる場合」について、今後、運用基準において、より具体的な基準を示してもらいたい。
  • 消費者への教育・啓蒙活動も車の両輪として力をいれていくべきである。
  • 定期的なモニタリング調査を実施し、規制の程度に過不足がないか、新しい潜脱手段等が横行していないかを随時確認できるようにしていくべきである。

意見の詳細は、こちらをご覧ください。

 

該当箇所 意見・理由
4 本検討会の主な検討・議論

(3)ステルスマーケティングに対する景品表示法による規制の必要性

シェアサービスにおいてもサクラレビュー・やらせ口コミの課題は存在するため、ステルスマーケティング(広告であるにもかかわらず広告であることを隠す行為)に対する規制の必要性があるという点については賛成である。

しかし、そもそも法律の委任の範囲を超えていないかという点は指摘しておきたい。すなわち、これまでの景表法の告示においては商品・役務の「性質」や「取引条件」が対象となっていたのに対し、今回の規制は「誰が表示しているのか」が対象となっているが、広告の表示主体を法第5条第3号の「商品又は役務の取引に関する事項」に含まれると解釈するのは広範に過ぎるのではないか。本来的には告示レベルではなく、新法や法改正により規定を新設して要件事実も精査したうえで規制すべきものであったと思料する。

今回については特段その点に関して深い議論がなされなかったようであるためやむを得ないが、今後、真っ当な事業者が行ってきたこれまでの商慣習を不必要に委縮するような規制が段階的に行われることを危惧している。

4 本検討会の主な検討・議論

(4)具体的な規制の在り方

29頁の意見(規制の範囲は明確かつ限定的にするべき。告示にするのであれば、不当性の要素を明らかにし、これまでの告示と同程度の予見可能性を高める内容が必要であり、併せて、表示主体性を明確にするような運用基準も必要である。)に賛成。法の執行の場面において明確な要件事実が設定できない限り結局骨抜きの規制になりかねないし、現状ビジネスシーンにおいて広く用いられている必要なマーケティングにまで規制の網がかかるリスクが高いため、運用基準を様々な角度から作りこみ、公表し、随時更新していくべきである。
5 3号告示と運用基準の方向性について

(4)告示案の運用基準の方向性

・39頁2行目「事業者が『表示内容の決定に決定した』」は「事業者が『表示内容の決定に関与した』」の誤植と思われる。

・39頁下から13行目「自主的な表示とは客観的に認められない関係性」は「自主的な意思による表示とは客観的に認められない関係性」の誤植と思われる。

5 3号告示と運用基準の方向性について

(4)告示案の運用基準の方向性 

38頁末尾かっこ書き「(例えば、SNSを使った投稿、ECサイトのレビュー投稿、アフィリエイトプログラム、プラットフォーム上の口コミ投稿。)」に例示として挙げられているものは、これら自体をもって直ちに事業者が「表示内容の決定に関与した」と客観的に認められる場合にあたるものではなく、その次の段落で挙げられているようなケースに該当する場合に、事業者が「表示内容の決定に関与した」と認められるものと理解する(その点についても次の項目の通り意見あり)。誤解を招かないよう、38頁末尾かっこ書きは削除するか、より丁寧に記載すべきと考える。
5 3号告示と運用基準の方向性について

(4)告示案の運用基準の方向性

39頁2行目以降「事業者が『表示内容の決定に決定した』と認められる場合には、例えば、以下のような場合が考えられる。 」として、事業者が第三者に表示をさせた事例を挙げているが、たとえ表示を行うことについて明示的に依頼している場合でも、そのことのみをもって一律に「表示内容の決定に関与した」と認定するのは行き過ぎでないか。シェアサービスにおいても、利用者に対して、レビュー投稿を条件に一定の割引(数%~十数%)等を行うことがあるが、事業者はレビュー内容については関知しておらず、利用者の自主的な意思による表示と客観的に認められるケースが一般的であると認識している。

従って、表示について明示的な依頼があった場合でも、自主的な意思による表示と客観的に認められる場合には、「表示内容の決定に関与した」とはいえないとすべきである。

5 3号告示と運用基準の方向性について

(4)告示案の運用基準の方向性

40頁「第三者の自主的な意思による表示と客観的に認められる場合」の例示として、「第三者が、自らの自主的な意思に基づき特定の事業者の商品又は役務について行う表示を行う場合(複数回の表示も含む。) 」などが列挙されている。この点、39頁から40頁に「第三者の自主的な意思による表示とは客観的に認められない場合」の例や判断基準は示されているが、自主的な意思に基づく表示と客観的に認められる場合についての例が示されていないため、結局、事業者が「表示内容の決定に関与した」とはいえない場合とはどのような場合なのかが不明確である。事業者の正常な活動を過度に萎縮させないよう、今後、運用基準において、より具体的な基準を示して頂きたい。
7 今後の対応  消費者への教育・啓蒙活動も車の両輪として力をいれていくべきである。また、定期的なモニタリング調査を実施し、規制の程度に過不足がないか、新しい潜脱手段等が横行していないかを随時確認できるようにしていくべきである。