【パブコメ】「モバイル・エコシステムに関する競争評価中間報告」に対し意見を提出しました。
2022年6月10日、当協会は、内閣官房デジタル市場競争本部が意見を募集していた『「モバイル・エコシステムに関する競争評価 中間報告」及び「新たな顧客接点(ボイスアシスタント及びウェアラブル)に関する競争評価 中間報告」に対する意見募集について』に関し、意見を提出しました。
意見①:【IAPの利用を義務付けされるアプリの判断の恣意性】
「App Store で有料アプリをインストールし、またアプリ内でデジタルコンテンツを購入した場合の代金は、Apple の提供する IAP のみ利用が認められている。」(中間報告131ページ)とあるところ、この判断が恣意的であり、アプリを提供する事業者の事業計画に多大な影響を及ぼしている。
当協会会員企業においても、iOSアプリローンチ後5年間は何も問題なくアプリを提供できていたところ、突如、アプリ内でのサービスの提供がデジタルコンテンツ販売に該当すると解釈され、それまで許可されていたアプリの審査が通らなくなるという事が発生した事例も存在する。一方、「App Store Reviewガイドライン」3.1.3(d)によれば、「個人対個人のリアルタイムでのサービス(家庭教師、医療相談、不動産のツアー、フィットネストレーニングなど)」は、デジタルコンテンツでもIAP利用の義務付けの対象外となっていると思われ、IAPの利用を義務付けされるアプリとそうでないアプリの区分に合理的な理由はなく、当該区分が恣意的であると言わざるを得ない。
IAPの利用を義務付けされた事業者にとっては、突如として売上の30%が手数料としてappleに徴収されることとなるのであり、事業計画に影響が出ることは明らかである。
デジタルコンテンツへの該当性が不明確であれば、デジタル化を躊躇する事業者が出てくることも想定されるところであり、我が国におけるデジタル化への阻害要因ともなるものである。
対応のオプションとしては、中間報告143ページに記載のものに賛成するものであるが、事実関係・懸念事項についての補足として意見する。
※IAP:In-App-Purchase(アプリ内課金システム)の略。
意見②:【手数料の位置づけについて】
Apple及びGoogleは、手数料について、決済処理手数料とは性質を異にし、アプリストアを利用するための対価である旨を述べているが(報告書P129、P133)、実際に「手数料を支払っているデベロッパは全体の約14%」(Apple)(報告書P130)、「約97%のデベロッパは一切手数料を支払っていない」(Google)(報告書P134)のであり、アプリストアを利用するための対価という説明は事実に反するものである。
意見③:【価格設定の自由について】
IAPでは、販売価格をAppleが定めた金額レンジの選択肢の中からしか選べない仕様となっている。
一方、シェアリングエコノミーのサービスにおいては、遊休資産を活用する提供者が自由に金額を設定できるサービスとなっていることも多く、仮にIAPの対象となってしまった場合には、プラットフォーム事業者の売上のみならず、サービス提供者の価格設定にも影響が及ぶ。
そもそも、サービスの価格設定は、サービス提供者にとって販売戦略の一環として極めて重要な要素であり、それが制限され得るIAPを利用することは、シェアリングエコノミーのプラットフォーム事業者として受容しがたいものである。
シェアリングエコノミーを含むデジタル・プラットフォームビジネスにおいては、自社の売上のほかサービス提供者にとっても影響があるということを意見として補足する。