2021年の新たな取り組み(安全安心に利用できるプラットフォームを目指して)

2021年の新たな取り組み(安全安心に利用できるプラットフォームを目指して)

当協会は、シェアリングエコノミーの市場発展や、安全・安心に利用できる環境整備に向けて、日々活動を行っています。
本記事では2021年より開始した新たな4つの取り組みをご紹介します。

 

① 個人間取引のトラブルを防ぐ知識が身につく「シェアエコあんしん検定」

シェアエコあんしん検定は、内閣官房IT総合戦略室が示すシェアワーカー研修・認証制度の「基本的な考え方」に基づき、当協会が内容を具体化し実施する検定試験です。

シェアサービスの提供者と利用者が安全・安心に取引するために、提供者が押さえておくべき基礎知識の学習とテストから検定内容は構成されており、取引に不慣れな提供者にも安心して取引を行ってもらえるよう一定の知識を身につけてもらうことを目的としています。

▼シェアエコあんしん検定 紹介ページ
https://sharing-economy.jp/ja/exam/

 

② シェアワーカー同士で助け合う仕組み「シェアワーカー会員サポートプラン」

2021年3月26日に内閣官房等から公表された「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」において、現行法における提供者の位置付けが整理されました。また、厚生労働省において、デリバリーサービスの配達員が労災保険に特別加入できる制度について検討されるなど、提供者の保護についての議論が高まりつつあります。

しかし、シェアサービスの提供者には、スキマ時間で働いている学生からそれにより生計を立てている専業者まで幅広い提供者が存在するため、現行の法制度の観点からの議論・保護では不十分な側面があります。

そこで、シェアリングエコノミーの提供者向けのサービスとして「シェアワーカー会員サポートプラン」を開発し、サービス提供を開始しました。

当該サービスは、共済制度やシェアワーカーのリスクに特化した損害賠償保険、福利厚生サービス等から構成されており、提供者向けに特化し開発されたサービスとなっています。

 

▼シェアワーカー会員サポートプラン 紹介ページ
https://share.jp/


▼開発者インタビュー
日本初!シェアワーカーが安心して働くための総合支援サービス 「シェアワーカー 会員サポートプラン」開発者にインタビュー
https://share.jp/share-worker/support-plan/

 

③ シェア事業者と提供者・利用者のフラットな話し合いの場「円卓会議」の試験的実施

提供者とシェア事業者の関係は、例えばシェア事業者が収受する手数料の額等において対立する構造にありますが、シェアリングエコノミーは提供者と利用者とのマッチングを主とするビジネスモデルですので、その発展においては提供者の存在がとても重要な要素となります。

つまり、シェアリングエコノミーの発展に向けては、シェア事業者と提供者とが対立構造に陥るのではなく、シェア事業者と提供者・利用者とが透明性の高い双方向のコミュニケーションを通じ協働し、より良いプラットフォームを創造していくことが重要だと、当協会は考えています。

そこで、当協会では、当協会のファシリテーションのもと、シェア事業者、利用者及び提供者の三者間においてフラットな関係の下で意見を交わし合える場としての「円卓会議」を、試験的に開催しています。

「円卓会議」はまだ試験的な試みですが、同会議を通じ、シェア事業者と提供者とが対立構造に陥ることなく協働し、より良いプラットフォームが創造されることを目指しています。

なお、上記フリーランスガイドラインにおいては、提供者に対し優越的地位にあると評価されるシェア事業者が提供者に不利益を与える規約変更を一方的に行った場合、その一方的な規約変更は優越的地位の濫用に該当し得ることが示唆されており、「円卓会議」のような会議体での双方向の議論の重要性は、今後、ますます高まっていくものと思われます。

 

▼タスカジ社と共に実施した円卓会議の開催報告
https://sharing-economy.jp/ja/news/20210430

 

④ 裁判によらないオンライン紛争解決手段 「ODR」(※)普及に向けた取組み

シェアリングエコノミーの取引では、提供者が個人の場合や、事業者であっても個人事業主等取引に不慣れな場合が多いため、ユーザー間のトラブルが一定数発生します。しかし、シェアリングエコノミーで行われる取引については金額が少額のものも多く、従来の裁判手続等は、時間的・経済的コストの観点から選択しづらい紛争解決手段となっています(その結果、ユーザー間の不適切な交渉において不適切な解決が図られている場合も見られます)。

そこで、ユーザーが迅速かつ円満にトラブルを解決できるよう、裁判外でオンラインを通じ紛争を解決するODRの活用が期待されています。

ODRについては、内閣府や法務省においてODRに関する検討会が開催されるなど積極的な検討が行われており、当協会でも、ODR事業者の実証実験に協力したり勉強会の開催を検討しており、ODRの普及に向けた取組みを継続的に行っています。


※ODRとは「Online Dispute Resolution」の略称であり、IT・AI等の先端技術を用いたオンラインでの、裁判によらない紛争解決手続を指します。

 

▼SOMPOホールディングス、損害保険ジャパン、キビタスとの実証実験について
https://sharing-economy.jp/ja/20210212

▼第16回シェアリングエコノミー検討会議資料より
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/shiearingu/dai16/siryou6.pdf