ライドシェア、シェアサイクルをテーマにプレゼンと質疑応答【自民党IT戦略特命委員会】
自由民主党IT戦略特命委員会(特命委員長・平井卓也衆議院議員)が主催する新プラットフォームビジネス小委員会第7回(全7回)が4月14日、自民党本部(東京・千代田区)で開催され、シェアリングエコノミー協会会員で株式会社ガイアックス執行役の岡田健太郎氏とコギコギ株式会社代表取締役の中島幹彰氏が自社サービスについてのプレゼンテーションに臨みました。今回のテーマは「移動」でした。
30〜50代の単身赴任車がコア利用者 年間4,000ドライブ
notteco(のってこ!)は日本最大級の中長距離ライドシェア(相乗り)サービスで、“乗りたい人”と“乗せたい人”をマッチングします。交通費を抑えたい、同じ趣味の人と楽しく移動したいなどのニーズに応えています。
nottecoでは安心安全にサービスが利用できるよう、ドライバー・同乗者ともに本人確認書類の提出が必須となっています。会員数は2万人超、年間では4,000ドライブの実績があります。コア利用者は30〜50代の単身赴任者が多く、数十回以上利用しているユーザーも多いとのこと。公共交通機関では行きにくい音楽イベントなどでの利用のほか、就活生などの移動手段としての活用も増えているそうです。
スマホアプリで登録から利用まで楽々 半数が訪日観光客
COGICOGIが提供するシェアサイクルとは、複数のサイクルポートの中の好きな場所で自転車を借り、好きな場所で返せる自転車のレンタルサービスです。世界では、2007年のパリでの成功を皮切りに、オリンピックをきっかけとして導入されたロンドン、また2013年よりニューヨークでも大規模に展開され、市民の日々の足として、また観光客の移動手段として欠かせない交通インフラとなっています。
自転車用スマートロックを使用したシェアサイクルサービスが特長で、スマートフォンのアプリ上でユーザー登録から利用まで可能。現在、インバウンド向けサービスとしても注目されています。
ライドシェア事業化への課題 海外事例参考に展開へ
質疑応答では、nottecoのビジネスモデルに関する質問がありました。道路交通法の定めにより、同乗者がドライバーに支払う謝礼は任意であり実費負担でなければならず、収益を得るサービスには未だいたっていないのが現状。nottecoのサービス説明をした岡田氏は、「欧州で広く認知されている“BlaBlaCar(ブラブラカー)”のように、手数料ビジネスを展開できればと思っている。BlaBlaCarは2,000万人の会員を抱え、3か月間で1,000万人が利用している」と話し、海外事例を参考に今後のビジョンを話しました。
また、旅行で利用する以外にも、通勤目的など「定期利用の展開は考えていないのか?」との参加者からの質問には、2012年にnottecoが富山県射水市と共同で、市役所職員の相乗り通勤(エコ通勤)を推進する取り組みを行った事例を紹介。「当時も好評だったと聞いているが、期間限定で終わってしまった。こうした取り組みを日本中でもっと広げていきたいと思っている」と相乗り通勤サービスへの導入見込みについても触れました。
ラック設置は不必要 低コストもポート増設が急務
私有地以外のサークルポート設置が課題であると話すCOGICOGIの中島氏は、「ポート設置はすぐにできる。自民党本部も要望あれば、きょうにでも設置できる」と提案。すると議員からは「是非やってみたい。シェアリングエコノミー普及に向けた取り組みを推進している我々こそやるべき」と賛成意見が多数上がりました。
シェアサイクルが盛んなパリ、ロンドン、ニューヨークと日本の大きな違いについての質問には、「ラックで自転車を管理しているか否か」と中島氏。COGICOGIは自転車用スマートロックで管理しているため、ラック設置は必要ありません。「ラック型の設置費用、維持管理のコストがかからないのが特長」と説明。利用者の半数が訪日外国人観光客である現状から、今後のインバウンド需要に応えるべく、既存公共交通との連携をしながら自治体が公共用地や公共空地でのサイクルポート設置許可を促す機会が増えることに期待を寄せました。
シェアリングエコノミー協会と連携した新プラットフォームビジネス小委員会の勉強会は本日が最後。特命委員長の平井議員は、「これまでの勉強会をきっかけに、実際に動き出している事例もいくつか見られる。これで終了になるのは寂しいし、これからもシェアリングエコノーの普及に向けて(シェアリングエコノミー協会と)連携を深めていければと思っている」と参加者に向けて挨拶を述べました。