タクシー不足問題等に対する当協会の見解

タクシー不足問題等に対する当協会の見解

都市部や観光地におけるタクシー等の供給不足の深刻化を背景に、政府では、年内に対策の方向性を示すべく、規制改革推進会議において検討が進められています。

以下、タクシー等の供給不足問題に対する当協会の見解を述べます。

 

  • 人口減少と高齢化に伴う人手不足が深刻化する中、あらゆる産業で供給力を強化し需給ギャップを是正していくためには、モノ、空間、スキル、移動、資金といった遊休資産をシェアリングエコノミーによって徹底的に活用することが重要である。

 

  • 交通分野においても、移動に必要な車体や移動空間を複数人で共有するモビリティのシェアリングには、ライドシェアも含めて、さまざまなサービスが存在しており、いずれも移動手段の供給不足に対する有効な解決策となりうる。そうした多様な主体による多様な移動サービスの選択肢を柔軟に組み合わせて、それぞれの地域の特性に合った解決策を追求できるような制度環境を整えていくべきである。


※個別のサービス類型(乗合・相乗り、個人間カーシェアなど)の活用促進策については、当協会として別途提言をまとめる方針。

 

  • その上で、現在政府で議論されている、ライドシェア導入も視野に入れたタクシー不足への対応策については、道路運送法第78条第2号及び第3号の適用拡大による短期的な手当てにとどまらず、新たな規制枠組みの創設(ライドシェア新法の制定)についても、2024年度中の制度化を目指し、早急に議論を進めることを求めたい。

 

  • 道路運送法第78条第2号・第3号及びライドシェア新法の検討に際しては、以下を重要な要素として制度設計を具体化すべきである。

 

(1)運行主体

タクシー会社に限定せず、スタートアップも含めた多様な事業者を運行主体として認めること。

 ただし、安全確保や利用者保護の観点から、運行管理や車両整備等について、運転手だけでなく、運行主体となる事業者も責任を負うべきである。

 

(2)供給規制

需要の変動に合わせた柔軟な供給を実現するため、台数規制等は導入しないこと

 

(3)運賃・料金規制

需要変動にあわせた柔軟な供給調整(ピーク時の供給確保やオフピーク時の潜在需要開拓)を可能とするため、上下限等を定めない柔軟な運賃・料金設定(ダイナミックプライシング等)を実現すること

 

(4)運転手の就業形態

多様な人材を運転手として幅広く確保するため、雇用に限定せず、業務委託による就業も認めること。

 ただし、安全確保や利用者保護の観点から、運行主体となる事業者の責任において、運転手に対する安全教育等を実施すべきである。

 

(5)地域における合意形成

機動的なサービス展開を実現するため、(自家用有償旅客運送の登録申請の前提となる)地域公共交通会議での協議のような地域における合意形成を条件としないこと

 

  • なお、当協会では、シェアリングエコノミーの安全性・信頼性向上のため、2017年より、政府のシェアリングエコノミー・モデルガイドライン*1を基に策定した安心安全基準に適合するシェアサービスを認証するシェアリングエコノミー認証制度*2を運営してきた。今後、ライドシェアに係る具体的な規律を検討していくに際しては、同モデルガイドラインや当協会の認証基準も参考にしていただきたい。

 

*1:https://cio.go.jp/sites/default/files/uploads/documents/se1_sharingeconomy_modelguideline.pdf

*2:https://cio.go.jp/sites/default/files/uploads/documents/se2_what_is_SE_trustmark_JP.pdf

 

以上

 

 

 

<参考>

2023年9月29日:タクシー不足問題等に対する当協会の見解
https://sharing-economy.jp/ja/20230929

2023年11月20日:ライドシェアに係る議論の動向に対する当協会の見解
https://sharing-economy.jp/ja/20231120