ISO/TC 324(シェアリングエコノミー)第7回国際会議

【本レポートは日本規格協会HPの転載記事になります】

シェアリングエコノミーの国際規格を開発するISOの専門委員会TC 324(シェアリングエコノミー)の第7回国際会議が開催されました。前回に引き続きオンラインでの開催となり、6月13日~24日、2週にわたり、日本時間で夜10時から12時まで開催され、日本、カナダ、アメリカ、中国、イタリア、インドなどから約30名が参加しました。日本からは、議長、国際幹事、日本代表エキスパート含め、計7名が出席し、シェアリングエコノミーの国際ルール形成に向けた議論を行いました。

 

ISO/TS 42501及びISO/TS 42502が発行へ

 シェアリングエコノミーの安心安全な取引の促進のためデジタルプラットフォームの果たすべき機能を規定した国際標準、ISO/TS 42501(デジタルプラットフォームの一般要求事項)と、この一般要求事項のサービス提供者の検証部分を補足するISO/TS 42502(提供者の検証のガイドライン)の2つのプロジェクトの審議が行われました。両プロジェクトとも最終プロセスであるDTS投票の結果、賛成多数であり、審議の結果、発行へ進むことが合意されました。

新たなプロジェクトが提案

 新たなプロジェクトとして、カナダからの提案で“Framework for implementation” (ISO/PWI 42503)がNP段階へ進むことが決定しました。C to Cのシェアリングエコノミーのみならず、B to B や G to G、環境への配慮などシェアリングエコノミーを形作るすべての概念が本標準の開発を通じて議論していく予定です。
また中国からの提案でISO/TS 42502(提供者の検証)を補足する事例集(Practices for provider verification)のTRとしての開発が決定しました。

次回会議はロンドンで

 次回総会は2022年10月にロンドンでのハイブリッド会議の開催を計画することが決定しました。開催されれば、約3年ぶりの対面会議となります。

ISO/TC 324決議事項

 最終日には持丸議長の進行の下、各グループのコンビーナから会議の総括がなされ、ISO/TC 324出席者全員一致で以下、9の決議事項を採択しました。今回は、ISO/TS 42501、 ISO/TS 42502が発行へ進むという決定がなされたほか、これらの標準の発行をアナウンスするためのウェビナーの開催などが決定しました。

決議68:決議起草委員会の任命
決議69:アジェンダの採択
決議70:セクレタリレポートの承認
決議71:ISO/PWI 42503のNP提出
決議72:ISO/TS 42501の発行段階
決議73:ISO/TS 42502の発行段階
決議74:”Practices for provider verification on digital platforms”のPWI登録
決議75:ISO/TC 324のWebinarの開催
決議76:ISO/TC 324次回会議

※参考訳になります。

 

[会議出席者から]

国立研究開発法人産業技術総合研究所 持丸正明氏(ISO/TC 324国際議長)

WG 1も新しいプロジェクトの議論に入り、また、TG 3では今後のさらなるプロジェクトについて具体的な検討が始まりました。TCの活動も、理念とガイドラインを確立するという第一フェーズから、第二フェーズに移ってきたと感じています。次回の開催では、ハイブリッド形式も検討され、また、シェリングエコノミーに関係するカンファレンスと連携した開催も提案されました。ISO/TC 324の活動に関心を持つエキスパートを増やし、一層の活性化に繋げたいと思います。

国立研究開発法人産業技術総合研究所 渡辺健太郎氏(ISO/TC 324/WG 2コンビーナ)

今回のWG2、Plenaryをもって、ISO/TS 42501“Sharing economy — General trustworthiness and safety requirements for digital platforms”の発行プロセスが一通り完了いたしました。国内委員会、並びに関係各位の皆様のご協力に大変感謝いたします。発行後は、本規格がシェアリングエコノミーの更なる発展につながるよう、普及展開を含めた取り組みを進めていきたいと考えますと共に、今後の規格の改善に向けて、広くご意見をいただければ幸いです。

ZVC Japan株式会社 武田大周氏(ISO/TC 324 日本代表エキスパート)

ISO/TS 42501及びISO/TS 42502がDTS投票を通過し、発行に進むことになりました。ISO/TC 324への参加は途中からとなりますが、国際基準の開発に関わらせていただき大変有意義な経験ができました。次はシェアリングエコノミーの新しいプロジェクトの検討に向けて更なる議論が開始されます。引き続きISO/TC 324での活動を通してシェアリングエコノミーの健全な成長を推進できればと存じます。

一般社団法人シェリングエコノミー協会 小出富雄氏(ISO/TC 324 日本代表エキスパート)

ISO/TS 42501、ISO/TS 42502が発行に進むこととなりました。これに続く新たな標準化の取り組みとして、現状の課題を踏まえ、両規格とは別の側面からシェアリングエコノミーの普及を促進するものがないか検討していきたいと考えております。色々なセクターの方を巻き込みながら、シェアリングエコノミーの発展につながる規格開発を進めていけるよう努めて参ります。

一般財団日本規格協会 遠藤(ISO/TC 324国際幹事、TG1主査)・水野(ISO/TC 324国際幹事補、WG1、TG3セクレタリ)

約3年ぶりとなる対面会議(ハイブリッド)の開催(ロンドン)を現在、計画しています。この機会を捉えて、国際の新たなPメンバの獲得に努めていきたいと考えています。