デジタル田園都市国家構想の推進に向けた民泊促進に関する共同提言を公表しました

本日 2022年5月16日 シェアリングエコノミー協会は、一般社団法人住宅宿泊協会一般社団法人民泊観光協会一般社団法人ファームステイ協会との共同提言「デジタル田園都市国家構想の推進に向けた民泊の促進について」を公表いたしました。

民泊を推進することは、多種多様な社会課題に同時に対応できるしなやかな社会を構築することにつながるとともに、地方における経済の活性化、移住・多拠点生活の推進など、まさにデジタル田園都市国家構想を推進するための重要な要素です。

しかし、民泊を一層推進していくための制度的課題はまだまだ山積していることから、本提言では、その一つ一つを解消するための継続的な議論の場の設置を要望しました。

デジタル田園都市国家構想の推進に向けた民泊促進に関する共同提言
https://sharing-economy.jp/ja/wp-content/uploads/2022/05/b06551811ca27e09bb5ac2af1a1c2966.pdf

 

民泊をめぐる制度的課題

住宅宿泊事業法に関する課題

    • 届出などの行政手続きの煩雑性
      民泊を始める際の届出などの手続きがオンライン完結せず、また、大量の添付書類などを求められるため非常に煩雑になっている。
      一般的な家庭や地方の高齢者などにとっては、これらの行政手続きが過度な負担となり、大きな参入の阻害要因になっている。

 

    • 地方における管理業者の不足
      家主不在型の民泊では管理業者に管理を委託することが義務付けられているが、管理業者になるための要件が非常に限定されているため、地方部に管理業者がおらず民泊を始めることができないという課題が存在している。

 

    • 違法物件排除に向けた取組の非効率性
      観光庁が構築した日数集計システムに仲介事業者が接続することにより、180 日を超えて宿泊させた物件を確認し、違法な物件を排除する取組を行っているが、実態上はシステム完結せず、多くの作業を人の手が介在している状況であり、仲介事業者の負担が非常に大きい状況となっている。

 

    • 180 日規制による低い収益性
      民泊は年間の営業日数が 180 日と制限されていることよって、収益性が乏しいという声がある。そのため、経済合理性の観点から民泊の担い手となるホストの参入が阻害されている。

 

    • 条例による過度な上乗せ規制
      住宅宿泊事業法において条例で上乗せ規制を行えるケースが相当程度限定されているにもかかわらず、過剰は地域・時期の制限をしているケースや、本来届出
      で実施可能な民泊が事実上許可制のような仕組みにとなっているケースなど各地で法令を逸脱するような条例が散見される。

 

関連法令の課題

    • 消防法令適合の運用改善
      民泊に対する消防法の適合基準は一定の緩和既に行われており、制度としては大きな課題はないが、実態の運用では、事前に消防本部に対面での相談が必要であったり、設備の現物確認が行われるなど対面手続きが多く行われることでホストにとっては負担となっている。

 

    • 事業系ごみとしての処理の困難性
      民泊から出るごみは事業系ごみになるため、廃棄物収集運搬業者に処理を依頼しなければならないが、ごみが少量であることを理由に契約できなかったり、非常に高額な費用を請求されたりするため、事実上処理できないという課題がある。

 

    • 食事提供の高いハードル
      民泊においてホストが振る舞う家庭料理は大きな魅力の一つであるが、食事を提供する場合には食品衛生法に基づく飲食店営業の許可が必要となるが、一般的な家庭において許可を取得するのは大きなハードルとなっている。

     

    • 類似制度が複数存在することによる混乱
      住宅宿泊事業法以外にも宿泊に関連する制度として、旅館業法、国家戦略特区報に基づく特区民泊、短期賃貸借(マンスリーマンション)など類似のサービスにも関わらず複数の制度が存在しており、民泊を始める際に混乱を招いたり、制度間のイコールフッティングが課題となっている。

 

その他の課題

    • 住宅と事業用物件の不合理な整理
      住宅宿泊事業法においては、民泊は住宅であるという整理に基づいて旅館業法とは異なる制度で運用されているが、固定資産税、住宅ローンなどでは、住宅ではなく事業法物件として見なされ、不利益を受けるケースが多く存在する。一方で、コロナ対策補助金では、事業用物件ではなく住宅であるとみなされ対象外にされるなど、不合理な整理が行われている。