総務省「電気通信事業ガバナンス検討会 報告書(案)に関する意見募集」に対し意見を提出しました。

総務省「電気通信事業ガバナンス検討会 報告書(案)に関する意見募集」に対し意見を提出しました。

2022年2月4日、当協会は、総務省が意見を募集していた「電気通信事業ガバナンス検討会 報告書(案)に関する意見募集」に対し、意見を提出しました。

 

意見

  • シェアリングエコノミーは、情報通信技術を用いて地域が抱える様々な課題に対応する、デジタル社会における共助の基盤として、今後さらに社会に浸透していくべきものである。そうした社会基盤としての発展可能性を見据え、利用者が安心して利用できる通信サービスの提供を確保する観点から、利用者への影響の程度等の実態を踏まえつつ、利用者に関する情報の適正な取扱いのあり方について議論していくことには、当業界としても賛同したい。

 

  • 今後の検討に際しては、保護すべき利用者の利益が多様化していることを考慮する必要がある。現代において新たなサービスが生まれる場合には必ずと言ってよいほど情報通信技術を利活用したビジネスモデルとなることが想定されるところ、電気通信事業法が成立した当初(昭和59年)の立法事実では想定もしていなかった態様のビジネスモデルが今後も生まれ続けることとなる。シェアリングエコノミーにおいても、事業者と消費者という二項対立ではなく、これまではいわゆる消費者として扱われていた個人も提供者として他の消費者(利用者)に対してサービスを提供するという特徴を有するため、利用者の立場にも多面的な要素が含まれ、どの立場として見るかによって「利益」は異なる。今後、電気通信事業法と個人情報保護法の棲み分けや、利用者個人のデータ保護に関する新法の必要性等を含めた法体系、規律のあり方について更に議論していくにあたっては、利用者の範囲やそれぞれの利益が多様化していることを踏まえ、真に保護すべき利用者の利益とは何であるかについての検討が不可欠と考える。

 

  • 今般の報告書案の検討過程における産業界等との議論の進め方には改善の余地があると考える。今後、上記のような規律の整理を進めていくに際しては、官民協議会の設置も視野に入れ、幅広いステークホルダーとのより透明性の高い丁寧な対話を徹底頂きたい。

 

  • 法規制の強化は、事業者の創意工夫によるビジネスの革新や国際競争力にも影響を与え、ひいては利用者の利便性等の利益を害しうる側面も有することに鑑みれば、報告書案でも指摘されている通り、スタートアップ等による自由なビジネスを阻害しないための配慮も重要である。当協会では、事業者の自主性を尊重しつつ、安全性・信頼性を確保するため、政府の指針に準拠した認証基準を策定し、シェアリングサービスに対する認証制度を運用している。規律の適用対象に係る基準や規律内容の具体化にあたっては、こうした取組みも参照しつつ、事業者等との対話を通じて様々なサービスの利用実態を丁寧に把握し、イノベーションと利用者保護の均衡のとれた適切なルール設計を目指して頂きたい。

以上