法務省「ODRの推進に関する基本方針(案)」に対し意見を提出しました。

法務省「ODRの推進に関する基本方針(案)」に対し意見を提出しました。

2022年1月21日、当協会は、法務省が意見を募集していた「ODRの推進に関する基本方針(案)~ODRを国民に身近なものとするためのアクション・プラン~」に関し、意見を提出しました。

※ODRとは、Online Dispute Resolutionの略で、紛争解決手続をオンライン上で実施することをいいます。

 

意見①

匿名で行われるデジタル・プラットフォーム上の取引においては、ODR利用時から執行時点まで一貫して匿名性が維持されたまま紛争解決が図られるようにするなど、シェアリングエコノミー事業者や当協会とも議論しながら、提供者・利用者にとって利便性の高いODRのデザインを目指していただきたい。

(理由)シェアリングエコノミーで行われる多くの取引については、オンラインで匿名で取引がなされるところに特徴があり、利便性という観点から、紛争解決時においても匿名性が維持されることがODR普及にとって重要と考えられる。

 

意見②

当事者にODR利用のインセンティブを与える、又は、ODRに強制的に参加させる等の仕組みについてご検討いただきたい。

(理由)ODRについては、現状、両当事者の合意に基づき利用がなされることとなっており、一方当事者の申立てのみでは利用できない。そのため、せっかくODRが実装されたとしても当事者双方が利用に応じなければ画に描いた餅となり、いわば「逃げ得」を許してしまう状況にある。そのため、ODRの議論にあたっては、「逃げ得」を許さないよう、ODR利用のインセンティブを与える、又は、ODRに強制的に参加させる等の仕組みの検討が必要である。

 

(補足)シェアリングエコノミーにおけるODRの可能性について

シェアリングエコノミーで行われる多くの取引については、①取引金額が少額である、②オンラインで匿名で取引がなされる、という特徴があります。

そのため、従来の紛争解決手段による解決では、①弁護士費用等で費用倒れとなる問題、②個人情報が取引の相手方に開示され匿名性が維持されない問題が生じており、従来の紛争解決手段は、経済性、利便性の観点から選択しづらい手段となっています。実際問題として、司法へアクセスすることなく、提供者・利用者間において紛争解決が図られることがまま見られるところ、ユーザー間の不適切な交渉において不適切な解決が図られている場合も散見されるのが現状です。

そのような状況において、「ODRの推進に関する基本方針(案)」にもあるとおり、紛争解決に要する経済的、時間的なコストが大幅に削減されるODRは、順次拡大しているシェアリングエコノミー市場にとって、適切な紛争解決手段として機能することが期待されています。

 

 

▼「ODRの推進に関する基本方針(案)~ODRを国民に身近なものとするためのアクション・プラン~」
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000228434