【開催レポート】 シェアリングシティカレッジ第1回 〜デジタル田園都市国家構想実現に向けたシェアリングエコノミー活用〜

【開催レポート】 シェアリングシティカレッジ第1回 〜デジタル田園都市国家構想実現に向けたシェアリングエコノミー活用〜

2022年5月30日に「シェアリングシティカレッジ 第1回」を開催しました。

今回のテーマは、「デジタル田園都市国家構想実現に向けたシェアリングエコノミー活用」でした。

人口減少社会の中でも快適に暮らすために、政府が掲げるデジタル田園都市国家構想にを軸に、デジタル庁統括官の村上 敬亮氏の基調講演を軸に、参加者との話を繰り広げました。

第1部:基調講演

第1部として、デジタル統括官庁 村上敬亮氏から「共助とデジタル」というタイトルで基調講演をいただきました。

以下、村上氏のコメントの一部を記載いたします。

ポイントは3点になります。

  • 需要が供給に合わせるのではなく、供給が需要に合わせる経済への転換を進める
  • デジタル基盤への投資を進める、共助のビジネスモデルを構築する
  • 多様性を取り込み、スタートアップ・エコシステムを作る

まずはじめに話していただいたのは、日本の人口減少のトレンドです。

戦後急激に増えた人口は今後、減少トレンドに進んでいくことになります。つまり国内マーケットは縮小していきます。

次に示していただいたのは労働生産性についてです。

2000年までは生産性の高い産業セクターに労働人口が移動したので労働生産性は上がっていますが、2000年前後で労働生産性は頭打ちになっています。

2000年以降頭打ちになっている理由の一つとして、労働集約的で生産性が低い産業が多く残っていることをあげていました。

日本はイタリアなどに比べると、新製品や新しいサービスを投入した企業が少ない傾向が挙げられます。

これらを踏まえて、人口減少期の中での経済の以降について示していただきました。

人口増加期では、拡大する国内市場を前提に、製造業を中心としたものづくり中心の経済を形成していました。

しかし、人口減少期の社会では、利用価値重視への移行が必要になるとのことです。

ここにあるように、人口増加局面から人口減少局面に移った現代では、供給が需要に合わせることが必要になります。

人口減少期には、各事業者が個別に設備投資をするのではなく、協調領域については共助の仕組みの中で投資を行い、差別化できる競争領域においては各自で投資をするといったように、共助のレイヤーを組み合わせて仕切り分けていくことで投資循環ができるようになっていくとのことです。

その時の達成度を測る指標としてWell-Being指標を活用します。共助のレイヤーの投資を進めることで共助型のデジタル生活基盤をつくっていきます。

人口減少化で日本の生産性を維持させるためには、このような形に投資循環をシフトしていき、その中で共助のサイクルの仕組みをいかした新しい産業が立ち上がればと考えています、と話していただきました。

第2部パネルディスカッション

第2部として以下のメンバーにてパネルディスカッションを行いました。

・デジタル庁 統括官 村上敬亮氏

・当協会幹事 当協議会代表 佐別当 隆志(株式会社アドレス 代表取締役社長)

・当協会九州支部長 当協議会ボードメンバー 森戸裕一(ナレッジネットワーク株式会社 代表取締役社長)

・当協議会アドバイザー 吉田 雄人(元横須賀市長・Glocal Government Relationz株式会社 代表取締役)

ディスカッションの一部をお伝えします。

 

ーー吉田:改めて村上さんにお聞きしますが、デジタル田園都市国家構想を簡単に定義するとどのようになりますか?

ーー村上:全国どこにいても便利で快適で楽しく生きがいを持って暮らせる町を作る(デジタルで)ということになります。Well-Being指標でも大事にしているのは、インフラとつながりの両面が充実していることです。

 

ーー吉田:シェアリングエコノミーがこのようなまちづくりにどう貢献できると考えていますか?

ーー佐別当:今あるものをうまくシェアしてサービス産業化するかということが大事だと思っています。例えば地域全体を宿泊施設ととらえてシェア型のまちづくりを行うといったことは非常に可能性があると思います。

ーー森戸:自治体職員向けに研修して思うことは、理想のまちづくりと、現実とのギャップをどう埋めていくのかということが大事です。そういった意味でもシェアリングエコノミーに関して自治体向けに理解を深めてもらうようなことをやっていきたいと思います。そういった意味では民間人の登用をしている自治体はうまく行っていると思います。事業者と自治体をブリッジングする人材が必要であると考えています。

ーー佐別当:事業者側も一つの自治体ではなくて周辺の自治体も含めた地域連携するようなケースが増えています。その際に、事業者側も地域全体で価値向上ができる提案をしていくことが大切だと思います。我々シェアリングエコノミー協会としても特定の自治体と一緒に公民共創の事例を作っていくようなことをしていきたいと思っています。

ーー森戸:そういった意味ではシェアリングエコノミー協会やシェアリングシティ推進協議会が複数の自治体と事業者をつなぐブリッジングの役割になっていたりしていますね。

ーー村上:自治体側も自分たちのことをガバナンスのもとで上手に発信していくことが大事ですね。発信が上手な自治体には企業版ふるさと納税などたくさんの資金が集まっているということがあります。

 

ーー吉田:最後に皆さんにお伺いしたいのですが、デジタル連携基盤の上に、どのような領域の産業を投資していくのが大事だと思いますか?

ーー森戸:教育分野の分野に先行投資していくことが大事だと思います。特に子供たちから見た時に、シェアリングエコノミーのような新しい産業のワクワクする未来が見えると、新しいことにチャレンジしようということにつながっていくと考えています。

ーー佐別当:関係人口の取り組みに注力していきたいです。人口減少時代に、関係人口を増やすということは非常に需要があることなので、新しいビジネスが立ち上がっていくと考えています。

ーー村上:人や物やサービスを動かすためのインフラへの投資が大事だと思っています。あらゆる物を動かすことで人や物の稼働率が上がっていくと考えています。

▲(左上)村上氏、(右上)佐別当、(左下)森戸、(右下)吉田

この後、第3部では参加者同士のグループディスカッションを行い、質疑応答の時間がありました。

カレッジについての詳細は、会員専用ページからご覧いただけます。

次回は6月15日(水)に「場所や時間にとらわれない働き方による地域の雇用促進」をテーマに開催します。

ぜひこちらもご参加のほどお待ちしております。

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