訪日外国人デジタルノマド実態調査を実施〜典型的なデジタルノマド像に加え、同伴型や非自認型といった新たなインバウンド層を確認〜(デジタルノマド研究会)

一般社団法人シェアリングエコノミー協会(代表理事:上田祐司、石山アンジュ)は、「デジタルノマド研究会」(事務局:MIRAI-INSTITUTE株式会社)において、株式会社テレコムスクエア(調査実施協力)および立教大学経営学部 教授 松下慶太氏の協力のもと、訪日外国人を対象としたデジタルノマドの実態調査を実施しました。

本調査によって、従来想定されてきた「常にリモートワークを行い、旅をしながら働く」いわゆる典型的なデジタルノマド像に加え、「同行者を伴う層(10%)」や「非自認型(7%)」が存在することが明らかになりました。観光を主軸としながらも仕事や生活要素を取り入れる新たなインバウンド層にも着目する視点が重要であると考えられます。

 

調査の背景

近年、世界的に広がるデジタルノマドという働き方・旅のスタイルは、日本におけるインバウンド施策において重要なテーマとなっています。一方で、その実態は一部のコミュニティに偏って語られることが多く、より広い層における実像の把握が課題となっていました。

本調査では、より広範な訪日外国人デジタルノマドの実態を把握し、誘客施策や受入環境整備に役立つ基礎データを収集することを目的としています。

 

調査の概要

  • 実施期間:2025年8月18日∼12月15日
  • 実施方法
    • 訪日外国人向けにWi-FiレンタルやSIMカード、eSIM等の通信サービスを提供する、株式会社テレコムスクエアが運営する空港カウンター店舗にて、QRコード付きチラシを配布し、オンラインアンケート形式で実施
  • 実施場所:株式会社テレコムスクエアが運営する空港カウンター店舗(成田・羽田・関西・中部・新千歳・福岡 等)
  • 対象者:訪日外国人旅行客
  • アンケートの質問項目

 

調査結果

本調査では、リモートワークの普及を背景に、従来想定されてきた「常にリモートワークを行い、旅をしながら働く」いわゆる典型的なデジタルノマド像に加え、より幅広い滞在・就労のあり方が存在するのではないかという仮説を立てました。

具体的には、観光を主目的としながらも滞在中に仕事を行う可能性がある人や、必要に応じてリモートワークを行う人、さらには家族旅行や友人との旅行の合間に仕事をする人など、従来のデジタルノマドの定義には必ずしも当てはまらないものの、潜在的にリモートワークとの親和性の高い層の存在に着目しました。

こうした仮説に基づき、調査結果①では、回答者の自己認識(デジタルノマドと自認しているか否か)と、実際の滞在行動・同行者の有無などを掛け合わせて分析を行い、複数のデジタルノマド類型(ペルソナ)を整理しました。調査結果②では、訪日の目的と滞在中の就業頻度を整理しました。

 

調査結果①:デジタルノマドの類型とその特徴

 

a.トラディショナル・ノマド(Traditional Nomad)

 

b.アカンパニード・ノマド(Accompanied Nomad)

 

c.インシデンタル・ノマド(Incidental Nomad)

 

d.アイデンティティ・ノマド(Identity Nomad)

 

※参考:その他の回答者
・家族友人との旅行者:全体の35%
・1人での旅行者:全体の9%
・学生:全体の9%
・就労を主目的とする来訪者:全体の3%

 

調査結果②:訪日の目的

「日本の文化を知るため」および「休暇のため」と回答した層のうち、24.1%が滞在中に何らかの形で仕事を行うと回答しています。

 

※参考:回答者の属性

 

 

<立教大学経営学部 教授 松下慶太氏 コメント>

今回の調査結果で最も注目すべきは、デジタルノマド自認の有無に関わらず、休暇や文化体験を主軸としながらも滞在中に仕事を「重ね合わせる(時間の二重化)」層が一定数存在している点です。特に「同行者を伴う層(10%)」や「非自認型(7%)」の存在は、彼ら彼女らにとってのノマディズムが単なる職種や働き方ではなく、移動と生活を統合した「ライフスタイル・モビリティ(Lifestyle Mobility)」であることを示唆しています。

彼ら彼女らのように「旅をしながら働く」スタイルを実現するには、Wi-Fiやコワーキングスペース、適切な宿泊施設といった環境が不可欠です。単に場所を提供するだけでなく、スムーズに仕事に取り掛かるための環境整備、すなわち「メタ・ワーク」をどれだけ減らすか、あるいはストレスなく準備できるか、という「働くための環境づくり」を事業者と行政が一体となって整え、サポートすることが重要です。

デジタルノマドは、単に消費して去ってしまう「観光客(交流人口)」ではなく、地域と持続的な繋がりを持つ「関係人口」になり得る存在です。そうした彼ら彼女らが求めるのは、従来の観光名所だけではありません。それよりもむしろ地域のスーパーでの買い物や現地の日常といった「二次的観光資源」、そして地域社会やコミュニティへの関与こそが、長期滞在における重要なコンテンツとなります。地域側が彼らを単なる「ゲスト」としてではなく、共に地域を創る「パートナー」として迎え入れる視点を持つことがデジタルノマドにとってより魅力的な都市、地域になる鍵です。

 

 

▼本件に関する問い合わせ先
一般社団法人シェアリングエコノミー協会 デジタルノマド研究会 事務局
info@sharing-economy.jp

 

▼MIRAI-INSTITUTE株式会社 プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000020525.html