瀬戸内エリア
基本情報
自治体名:瀬戸内エリア
都道府県:瀬戸内エリア
自治体規模:広域
シェアリングエコノミー活用の取り組み
概要
【観光振興】
地域の遊休資産である空き家古民家をインバウンド向け宿泊施設として開発し、海外系の仲介サイトを通じて利用者を集めることで、インバウンド旅行消費を地域に呼び込む。
取組主体:せとうちDMO
導入前の状況 (課題)
- 地域の著しい人口減少は瀬戸内も例外ではなく、全国平均に比して瀬戸内7県での人口減少率は3ポイントも高い(2015年国勢調査ベース)。交流人口の増加施策が求められている。
- 加えて空き家数も年々増加傾向にあり全国ベースで用途の無い空き家は318万軒(2013年度)にのぼる。これらは放置による老朽化で安全面・景観面でのリスクとなっている。
- そのうち全国約150万軒、瀬戸内エリアだけでも約30万軒に上る江戸~昭和期の近現代建築の30-45%が空き家となり今後10-30年ですべて消失。
- 行政施策(重伝建、伝建施策、市町村の歴史建築物指定 等)では賄いきれない貴重な民俗学的資源が次々と消失する状況。
※重伝建:重要伝統的建造物群保存地区 、伝建:伝統的建造物保存地区
課題に対する取組
【増加する瀬戸内インバウンド旅行者】
瀬戸内エリアの外国人旅行者増は全国ベースを上回る勢い。ハイシーズン、人気エリアでは室数不足も発生。
【歴史文化体験を希望するインバウンド】
日本的な街並みの体験を希望するインバウンドにとっての古民家宿泊施設はポテンシャルが高い。
↓
- 古民家宿泊施設の整備など歴史的街並みを活用したインバウンド誘客施策を展開。
導入後の状況 (取組の効果)

- 内子Setouchi Cominca Stays(2棟)
➡ 2018年8月、11月のハイシーズンには60%程度の高稼働率、うち10%程度が外国人旅行客となっており徐々に成長 - 広島Setouchi Cominca Stays(3棟)
➡ 2019年9月開業、初動3か月平均稼働率25%、海外旅行社10社程度のfamツアー実施などで販促活動中
取組のポイント
サービスの認知度向上のための取組
- 海外市場への認知販路確保のため、世界最大手オンライン旅行会社Expediaのグループ企業HomeAway株式会社と戦略提携。同社サイト上に瀬戸内専用ページを設けるとともに、DMOの自社サイト(Setouchi Reflection Trip)、古民家宿解説サイト(Setouchi Cominca Stays)等を設置するとともに海外エージェントへのセールス/インフルエンサーマーケティング/各種ソーシャルメディアの積極的利用などの施策を実施中。
サービスの提供者(ホスト)・利用者(ゲスト)掘り起しのための取組
- DMOへの出資地銀ネットワーク、現地の行政機関、商工会議所等と連携して、DMOと協働して施設運営を行う地域組織(民間企業、NPO等)を掘り起こす。
- 地域組織の事業への参画ハードルを下げるため、施設の保有改修負担をDMOが行いリスク分散を図る。
法律や条例との整合性を確保するための取組
- 旅館業法に則った簡易宿所認可を前提とした開発を行っており、各種法令を遵守。
広域連携のための取組
- 瀬戸内7県全体での開発を行うことで最終的には拠点をネットワークした広域周遊ルートの造成も可能に。旅行者は周遊体験を通して瀬戸内を体感することが可能となり、広域連携DMOが目標とする周遊ルート全体でのブランディングが達成。
その他
【資産価値の低い遊休資産を利用した高付加価値なサービス創造】
- 従来資産価値が極めて低いため放置されていた物件を、各種調査分析を基にした立地戦略、ターゲット設定や価格戦略によるブランド化を行うことで付加価値の高い観光資源化することにより投資金額の抑制(取得費用)と高収益(高客単価)をもたらす試み。
【輸出産業としての視点】
- マーケットシフト(国内→海外)することで、国内旅客を対象にするより高単価な価格設計に挑戦。これを可能にするためHomeAway社との戦略提携を実行し、マーケティングから販路確保までを連携し実施。
残された課題、継続取組事項
- 協業する地域組織の発見、育成。
- 不十分な二次交通によるアクセス難への対応。
- 海外販路のさらなる拡大とセールスノウハウの獲得の途上。
- 地域を巻き込んだ内外一体の開発モデルケースの確立。
連絡先
株式会社瀬戸内ブランドコーポレーション
古街計画事業部
木村 洋
y.kimura@setouchi-bc.co.jp
082-836-3205