南阿蘇村、他

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基本情報

自治体名:熊本県南阿蘇村・和水町・玉名市、長崎県島原市・川棚町、福岡県大木町・福岡市、佐賀県有田町、山口県下関市外
都道府県:熊本県、長崎県、福岡県、佐賀県、山口県
自治体規模:広域

シェアリングエコノミー活用の取り組み

概要

【観光振興】

阿蘇の「道の駅」や島原城など14地域の不稼働時間帯の駐車場等に給電機器と連携したシェアサービスを導入し、車中泊を有償化するルール整備と地域滞在消費を促進する取組。

取組主体:トラストパーク株式会社

導入前の状況 (課題)

  1. 車中泊問題(南阿蘇村/玉名市/和水町/錦町/五木村/大木町)
    • 近年、キャンピングカー等の車中泊や観光を目的としない車中生活者も増加している。 宿泊を認められていない場所が利用されており、夜間の火気利用、 ゴミの投棄などのルール違反者や苦情が増加。
    • 2016年4月の熊本地震では、被災者や支援者からは照明器具や炊飯器などの家電を持ち込んで一時的に生活できる
      避難場所が求められた。この地震を教訓に、九州6県・3政令市においては地域防災計画に「車中泊対策」が盛り込まれた。
  2. 地域資源活用不足(全地域)
    • 自然や歴史、文化、温泉など資源が豊富だが、潜在的な観光力が発揮できていない地域や情報発信が不足している地域が多い。具体的には宿泊施設が不足しており日帰りされている地域や観光資源の不足により通過されている地域など が多数。

課題に対する取組

  • 2017年11月~道の駅や観光施設などの不稼働時間帯の駐車場をシェア活用して、車中泊を有償化するルール整備及びシェアサービス「軒先パーキング」と100V給電機器QRコードで連携した休憩駐車管理システムを導入し、観光客が安心・安全に車中泊ができる場所を整備。これまで観光客に提供されていなかった地域独自の体験観光素材を磨き上げ、観光商品としてシェアサービス「TABICA」に掲載。車中泊滞在による地域体験の利用を促進。
  • 初期費用(1地域180万円~280万円)は総務省IoTサービス創出支援事業、地方創生推進交付金を活用。2019年度は自主財源による導入や民間管地にも展開。

導入後の状況 (取組の効果)

長崎県 東彼杵郡 川棚町
国民宿舎くじゃく荘

車中泊等の売上は地域とレベニューシェアし、維持費用(電気・通信費)は
売上から負担して自走運営。
2019年1月~12月の9地域における利用実績は以下のとおり
・車泊利用数は、1,097件(=軒先パーキング予約1,326件-予約キャンセル229件)
・車泊売上は、3,153,380円(9地域の軒先パーキング決済額合計)
・車中泊ルール違反・苦情数 0件(防犯カメラ設置)

2017年11月~2018年1月に車泊利用者(44名)へのアンケート結果は以下のとおり
・地域滞在消費は、1人平均7,802円(車泊売上、交通費を除く)、利用者満足度 79.8%

取組のポイント

サービスの認知度向上のための取組

  • 九州周遊観光サービスモデル事業では、災害時の避難の手段としても使われる「車中泊」ではなく、シェアリングエコノミーを活用した新しい旅のカタチ「車泊(くるまはく)」と呼称し、観光拠点に設置した100V電源を使用する滞在観光スタイル動画を作成しWebサイト・SNS等で告知、熊本県・長崎県、地域メディア等の協力を得て広報。有料広告はFacebookを使用。各地の周遊観光ガイドブックも作成。
  • 九州全県・山口・北海道で「シェアリングサミット」を計13回開催し、参加者計約1,500名に対しシェアエコの啓蒙と本事業を説明

サービスの提供者(ホスト)・利用者(ゲスト)掘り起しのための取組

  • 車泊サービスは「温浴施設等との提携」「アウトドア用品・家電品のレンタル」 「地域イベントと連携したセットプラン」等、自治体や地域イベント、地元企業等と連携し利用促進に取り組んでいる。Wi-Fi自販機導入(大木町)や既存Wi-Fiの活用(島原市)により車泊スペースにフリーWi-Fi環境を構築。長崎県の文化財である島原城では、簡易宿所の許可を取りキャンピングトレーラーを設置し地域滞在の利用促進を図る実証実験を実施。ANAシェアエコツーリズムと車泊を連携した着地型観光商品「九州周遊観光パッケージ」を企画中

スマートフォンなどを使うことができない利用者向けの取組

  • 車泊サービス(実証期間中)は電話受付にも対応した。現在は基本的にネット予約で受付。

サービスの安全・安心を確保するための取組

  • 車泊スペースに防犯カメラと車泊マナーや防犯対策等を明示した看板を設置。予約時及び現地での問合せに対応する365日受付窓口を設置。予約者のみ閲覧できるページに車泊スペースの利用方法やマナー注意事項(ゴミ捨て場など)の説明を写真付きで掲示。
  • 地域体験サービスのTABICAはシェアリングエコノミー協会の認証を得たサービスとして事故等の補償(TABICAケア)に対応。

法律や条例との整合性を確保するための取組

  • 今回の車泊実証は道の駅と観光・温浴施設で実施。道の駅の駐車場は国交省より交通事故防止のため休憩(仮眠)は可能という見解が示されているが宿泊場所ではない。観光・温浴施設には夜間駐車を規制している施設や規制がない施設があり、条例・規則にも「車中泊可能な場所」としては明記されていないため利用料が徴収されていない。直営施設は、自治法に基づき車中泊使用料の徴収条例を定めて運営。指定管理施設は、指定管理者の自主事業として条例化せず車中泊使用料は変動料金にて運営。

広域連携のための取組

  • 自治体や事業者などから成る「九州周遊観光活性化コンソーシアム」を組成。広域自治体と連携し,西九州観光ルート開発検討会を実施。

残された課題、継続取組事項

  • 近年、若者の価値観や働き方の変化により、ライフスタイルが多様化し、シェアサービスの利用者は増えてきている(車泊利用は前年比約3倍増)。
  • 地域資源の一つであるモノ(施設・設備・スペース)をシェア活用し、コト(観光、アウトドア、リモートワークなど)を興す「体験型コンテンツ」を創り、地域滞在消費の活性化を目指しているが、ヒト(担い手)が不足している地域が多い。地域コミュニティと連携し、セミナー開催による担い手の発掘にも取り組んでいる。

連絡先

トラストパーク株式会社
ソリューション本部
西岡 誠
nishioka@trustpark.co.jp
092-437-8934

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