天草市御所浦地区

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基本情報

自治体名:熊本県天草市御所浦地区
都道府県:熊本県
自治体規模:市
自治体HP:https://www.city.amakusa.kumamoto.jp/

シェアリングエコノミー活用の取り組み

概要

【地域の足の確保】

内海の離島を海上タクシー(貸切船)のシェアリングサービスを用いて海の道でつなぐ「うみラクプロジェクト」。

取組主体:NPO法人 イーモビネット

導入前の状況 (課題)

  • 天草市の離島、御所浦では、急速な人口減少(H17:3,615人→H27:2,735人)や、基幹産業の停滞などにより、日用品を取り扱う商店などの廃業や公共サービスの縮小が進み、島民の買い物や通院など普段の生活には、対岸地域との往来が欠かせなくなってきている状況。
  • しかしながら、対岸地域を結ぶ定期船は18時台に終了し、また乗降できる港も限られるなど、住民にとって島外との移動・交流の制約は大きい。
  • また、対岸港からのバスなどの公共交通が少ないことも、高齢化が進展する同地域(高齢化率:52.1%)にとって大きな課題になりつつある。

課題に対する取組

  • 2020年8月から、島民ならびに島を往来するビジネスや観光客を対象として、海上タクシーのシェアリングサービス「夜間のりあい便」を運航。
  • 定期船の最終便後の19時~20時の時間帯において、島に戻る住民や、夜間に島を離れるビジネス客などの移動ニーズを、スマホアプリなどを用いてマッチング。
  • これまで個人事業者で運航されてきた「海上タクシー」という地域資源に着目し、情報技術によりシェアリングする仕組みを作ることにより、定期航路の増便や架橋の建設などの公共サービスに頼ることなく、持続可能な離島の地域交通・移動の仕組みづくりを確立中。

導入後の状況 (取組の効果)

  • 海上タクシー夜間のりあい便は、2020年8月20日から2021年2月28日の193日間で、延べ利用者数は377人。利用した人は島内外で96人でリピート者数は35人(最高利用者46回)と、地域の交通手段として定着化。
  • 利用者アンケート(2020年10月実施)によると、本サービスが無かった場合「移動・外出をあきらめていた」という人がおよそ8%あることから、これまでの延べ利用者のうち30人程度が、本サービスにより島外への移動・外出促進効果があった。
  • また、同期間における海上タクシーの稼働は延べ201回、売り上げは 1,005,000円となり、海上タクシー事業者の収益安定化にも貢献している。

取組のポイント

サービスの認知度向上のための取組

  • うみラクプロジェクトの専用ホームページを制作。
  • 地域内外にポスター掲示やチラシを配布。
  • 天草市の市報や新聞折り込みに掲載。

サービスの提供者(ホスト)・利用者(ゲスト)掘り起しのための取組

  • 乗合イベント企画などによる海上タクシー事業者(サービスの提供者)の巻き込み。
  • 島民、島外の方への海上航路のアンケート調査の実施。
  • 天草市、地域団体、海上タクシー協会などと連絡会を編成し、定期的に報告会などを開催。

スマートフォンなどを使うことができない利用者向けの取組

  • 電話による受付や窓口対応を実施。

民間事業者のサービスを利用した場合)公平性の確保のための取組

  • 海上タクシーの事業者選定にあたっては、あまくさ海上タクシー協会を窓口として、参加希望の事業者を選定。

サービスの安全・安心を確保するための取組

  • 地域に根差した物産館(市が委託している事業者)を窓口として、諸々の住民対応などを実施。
  • サービス提供者は、既存の海上タクシーの許認可を有するベテラン事業者に依頼。
  • 旅行業を有する現地の会社に、ランドオペレーターとしての業務を委託。

法律や条例との整合性を確保するための取組

  • 旅行業を有する現地の専門の会社に、船の手配やランドオペレーターとしての業務を委託。
  • 定期航路とみなされない運航方法を工夫して実施。

補完・連携した既存の公共サービスの内容

  • 水俣航路(海上タクシーによる予約制の水俣定期便)と連携し、対岸港にシェアリングカーを配置。

広域連携のための取組

  • 天草市のみならず、熊本県天草広域本部などと連携した報告会などを開催。
  • 御所浦と従来交流が深かった水俣・芦北地域へのルート振興のため、対岸地域である水俣市、熊本県芦北地域振興局などにも連携を打診中。
  • 水俣・芦北地域を含む不知火海湾岸の広域移動・交流ルートづくりのため、旅行会社と連携した企画を検討中。

その他

  • システム開発・運用コストを最小限にするために、予約のためのスマホアプリは、非営利団体向けITサポート団体(Code for Japan)に委託し、無償でのアプリ開発(試作)を実施し、運用中。

残された課題、継続取組事項

  • 現在、トヨタ・モビリティ基金を活用しているが、今後、事業性、採算性を確立するために、島外の利用者(ビジネス、観光客など)の利用促進が大きな課題。コロナ禍により2020年度は十分な域外への利用促進活動が出来なかったため、今後は、関係機関と連携しながら、持続的な事業となるよう取り組みを進めていきたい。

連絡先

NPO法人イーモビネット
代表理事
鶴岡 良一
tsuruoka@mobinet.jp
080-5609-5443

関連情報

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