塩尻市

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基本情報

自治体名:長野県塩尻市
都道府県:長野県
自治体規模:市
自治体HP:https://www.city.shiojiri.lg.jp/

シェアリングエコノミー活用の取り組み

概要

【就業機会の創出】

地域企業と首都圏を中心とした他府県の“複業人材”が共感型マッチングから始まる経営課題解決に挑戦し、関係人口創出にもつながる、「#複活」プロジェクト。

取組主体:塩尻商工会議所・塩尻市・株式会社パソナJOB HUB・経済産業省関東経済産業局

導入前の状況 (課題)

  • 以前より塩尻商工会議所は「複業(兼業・複業)人材」活用推進事業を積極的に行っていたが、Socity5.0やVUCAといった新しい未来への対応や新型コロナ感染症の感染拡大に伴うかつてない社会環境変化の中、地域企業を取り巻く環境も変化し、変革を行わなければいけなくなった。
  • 事業承継・販路拡大・新規事業・IT化・組織変革などの面で人材不足等の課題を感じている地域事業者が多数存在した。
  • また、スキルを持った人材の採用・活用について可能性を感じている地域を代表する企業経営者が増えてきたが、自ら実施するには具体的な事例を知りたいという需要があった。
  • 事業者の経営課題解決の選択肢の一つとして「複業人材」活用の認知を広げるためには「企業とのマッチングに向けた伴走」と「企業と人材のコミュニティ化」、そして「中間支援組織との複業人材活用の意見交換の場」が必要と感じていた。

課題に対する取組

  • 塩尻市の事業者と中間支援組織を対象にしたオンラインビジネスセミナーを実施した。
  • 都市部人材向けに、プロジェクトに賛同した塩尻市の事業者の紹介や複業の事例紹介などのオンラインイベント、複業希望者を対象に、現地企業と直接会い、課題や企業の取り組みや想い・将来ビジョン等を確認するオンラインフィールドワークを実施した。
  • 事業者の経営課題に対し、「複業人材の学歴や職歴ありきで始まらないプロフィールシート」と「経営課題解決のための複業提案書」、「三者(事業者・複業人材・事務局)での壁打ちを行いながらの面談」を実施し、「双方の共感から生まれる複業マッチング」からの中長期的な関係構築を促進した。
  • 「複業人材活用」について事例や本事業進捗の共有などを題材に、地域の中間支援組織と地域事業者との協議会を実施した。

導入後の状況 (取組の効果)

  • マーケティング・業務効率化・広報・デザイン・IT・新規事業企画などのスキルを持った複業希望人材と地域企業がマッチングを実施し、特に小規模事業経営者には「商工会議所との経営課題の切り出し」や「フィールドワークや面談を通じた複業希望人材との壁打ち」により、経営課題解決にむけた具体策だけでなく自社の経営理念など経営全般に対する意識変化があった。※2021年1~3月に8社にてマッチング面談を進行中※マッチング:企業と人材の契約内容が概ね合意ができている状態
  • 令和2年度は年3回の協議会を実施。市内の中間支援機関や地域事業者と「複業人材の活用の現状について」などを協議会内で意見交換を行い、中間支援組織が複業人材活用推進に向け日常業務で必要な事項なども把握できた。(2020年8月・11月に実施済、2021年2月に実施予定)
  • 塩尻商工会議所の既存の活動や本事業を通じて、複業人材活用が確実に地域に根付きはじめ、塩尻市での本事業による事例が、市内の一般的企業のみならず長野県全域の中間支援組織や自治体に対する意識醸成につながることを期待。

取組のポイント

サービスの認知度向上のための取組

  • 複業人材と地域企業に訴求する、プロジェクトのコピー作成やWEBページを開設した。
  • 「経営課題解決施策の一つとしての複業人材活用」をテーマに塩尻市内と周辺の地域企業へ向けたオンラインイベントを実施した。
  • 関東圏を中心とする都市部複業人材へ向けたオンラインイベントを実施することで、複業に興味を持つ潜在層にアプローチした。
  • 地域企業と中間支援機関を招き「塩尻市内での複業人材活用の推進」に向けた意見交換を実施した。

サービスの提供者(ホスト)・利用者(ゲスト)掘り起しのための取組

  • 参画企業に対しては、「複業人材活用の事例紹介」や「首都圏を中心とした複業希望人材の傾向や特色」、「複業人材との協働で生まれる効果」、「複業人材と協働したい経営課題の切り出し」、「複業人材とのマッチングに向けたオンライン・フィールドワークの説明」などを説明、以降興味をもった企業に対して個別で複数回説明を実施した。
  • 人材に対しては「複業」や「地方」「長野・信州・塩尻」に興味関心のある層にSNSやWEBでの訴求や、オンラインイベントを開催した。

スマートフォンなどを使うことができない利用者向けの取組

  • オンラインイベントに使用するアプリケーションの使い方など希望した企業へは個別に説明を行い、それでも使用に不安のある企業へは、実際に企業を訪問し商工会議所や市役所職員が直接使い方などを伴走した。

民間事業者のサービスを利用した場合)公平性の確保のための取組

  • 事業者選定に際しては公募型で実施。

サービスの安全・安心を確保するための取組

  • 個人情報を扱うため、参画企業からは個人情報保護の覚書の締結、複業人材とはエントリー時に個人情報保護の同意取得を行い、事業実施にて説明会を行い、個別希望企業や複業人材にも相談会などを実施した。

法律や条例との整合性を確保するための取組

  • マッチング時には口約束にならないよう、書面でのやりとりや契約書締結のなどをトラブル回避に向け推奨し、必要な調整を実施。また面談も地域コーディネーターが同席することで一定の整合性の担保を行った。

補完・連携した既存の公共サービスの内容

  • 令和2年度途中であるが複業(兼業・副業)人材等外部人材を活用した市内中小企業等に対し、補助金支援メニューを創設した。

広域連携のための取組

  • 参画企業は令和2年度事業では市内企業にとどまったが、前年度は近隣市の企業の参画も受け入れていたので広域連携に向けた近隣地域との交流は日々行っている。これからの地域での複業人材窓口となるNPO法人などにも情報共有と意見交換をおこなった。

その他

  • 人材や企業を集める上で、「#複活」という統一した事業コンセプトをデザインすることにより、コンセプトに共感する企業や複業希望人材の参加を得られやすくする工夫を行った。
  • 静岡県静岡市や茨城県の地域コーディネーターとも情報共有や意見交換を行い、将来的に地域間連携ができる土台作りを実施した。

残された課題、継続取組事項

  • 塩尻商工会議所の実施施策や本事業で参画した地域企業でのマッチング事例などを元にした「複業や外部人材活用」の継続的な啓蒙と伴走の実施。
  • 中間支援組織を中心とした地域の経営支援機関が主体となる、行政や関係団体、人材会社と連携した、継続的に実施できる仕組みの構築。
  • 複業人材と地域企業のマッチング後、経営課題解決という成果を出すための継続的なフォローの取り組み。
  • 「共感型マッチング」での経営者層の意識変化など数字化しにくい効果測定方法の確立。

連絡先

塩尻商工会議所
事務局
横山 曉一
yokoyama@shiojiri.or.jp
0263-52-0258

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